『透明人間』とはなんとも直截的な題名。
透明人間になって何するの?ってとこが見どころですかね?
あらすじ
天才科学者で富豪のエイドリアンから過度な束縛を受けていたセシリアは、地獄のような日々から抜け出すべく彼の豪邸から脱出する。セシリアを失ったことで悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に遺す。そんな彼の死に違和感を覚えるセシリアの周りでは、不可解な出来事が相次いで起こる。“見えないなにか”によって命を脅かされていくセシリアは、その正体を暴こうと奔走する。
出典元:MovieWalkerPress
感想
透明人間の歴史
歴史って程のものでもないですが、原作はH・G・ウェルズの『透明人間』(英語だと『The Invisible Man』)
なんと発表は1897年!100年以上も前に作られた話です。
1933年に1度目の映画化。
その時も題名は『透明人間』(もちろん原題は『The Invisible Man』)。
この時の透明人間は、薬で体が透明になってしまったというもの。
そのため顔を包帯で巻いて、サングラスをかけた姿でした。
ちなみに、今回の『透明人間』の中にも顔が包帯でぐるぐる巻きの人が出てきましたね。1933年版『透明人間』へのオマージュでしょう。
2度目の映画化は、2000年の『インビジブル』。
原題は『Hollow Man』、hollowは空洞という意味。ホローマンって言っても通じないから日本では変えるってことになったらしいですが、『透明人間』だと時代に合わないから『インビジブル』にしたっぽいです(笑)
20年後の今回の『透明人間』はどうなるんだよ!(笑)原点回帰ってこと?(笑)
この時はH・G・ウェルズの『透明人間』は原作ではなく原案。多少違うお話です。
「透明化には成功してるが、もとに戻せない」という設定でした。
主人公役のケビン・ベーコンの皮膚が最初に透明になり、徐々に筋肉→骨と見えなくなり、最終的に透明になるという映像に、当時、おおっ!とCGのすごさを感じました。
ちなみにこの『インビジブル』のキャッチコピー、「姿は見えないが、殺意は見える」。今回の『透明人間』は「見えるのは、殺意だけ」。ほぼ一緒ですね(笑)
で、今回の『透明人間』は、1933年版のリブート作品ということです。(要は1933年当時は考えられなかったり、技術的に表現できなかったりした部分を現代バージョンにしたってこと。ストーリーも変わってます。)
透明になる方法は、光学研究の第一人者がこっそり透明になるスーツを作ってた、というものでした。まあここについてもつっこみどころ満載なんだけど、そんなやたらとハイテクなスーツ作れるって、トニー・スターク(アイアンマン)とかブルース・ウェイン(バットマン)レベルってことじゃない?使い方間違わなかったら、世紀の発明家でしかもスーパーヒーローの一員なのにね。
透明になったら何する?
透明になったらやることなんて、大体は悪いことですよね。
前2作品は強奪したり、不法侵入したり、人を殺したり、いろんなことしてます。
だって透明で他の人には見えないんだから好き放題しますよね、そりゃ。
さすがに殺人はしないと思うけど、好きな人の家に行ってこっそり生活を覗いちゃったりするかも。だって絶対にバレないんだよ、ぜったい。
でも今回の透明人間はちょっと違う。
意識が妻であるセシリア(エリザベス・モス)にしか向いてないんですよね。
もともとお金持ちっていう設定があるからかもしれないけど、違和感しかないよ。
勝手に妹にセシリア名義で仲たがいさせるようなメールを送ったりしてるから、セシリアを束縛・独占したいという思いがあるんだとは考えられるんだけど、人がたくさんいるレストランで、妹を殺してセシリアのせいにして逮捕させちゃうし。セシリアを孤立させるにももっといい方法があるはずでしょうよ。
自分の兄をも操ってセシリアや友人の娘を襲わせてるくらい頭脳明晰の人物で、最終的には兄を犯人に仕立てて、元のセシリアを束縛する生活に戻ろうとしてたはずなのに、セシリアを殴ったり行き当たりばったりのとこもあったりして、うーんなんだか一貫性がないというか。セシリア殺したらダメなんだよね??殺すならすぐにでもできたはずだし。夫が最終的にどうしたかったのか?っていうのがよくわかんなかった。
今回の『透明人間』だと体が透明になるわけではなく、スーツを着ると見えなくなるので、もっと怖がらせられるようなアイデアもあったのかなぁとも思う。
でも最後セシリアが透明人間になってやり返したのは、スッキリしましたね。「サプラーイズ」って言うのもよかった。
見えない恐怖の表現
見えない人間を表現していたシーンがいくつもあって、おおっ!ってなりましたね。
屋外に出たときのセシリアの後ろに白い吐息が見えたり、カーペットが足の形に沈みこんだり、くもったガラスに手の跡をつけたり。
姿が見えないということを逆手にとって、いろんな表現ができますね。すごい!
夫が透明人間ということに気づいたセシリアとしては、得も言われぬ恐怖だったはず。
だってどこにいるかわからない相手からずっと見られてるかもしれないんだもんね。(たとえ見られてなくても、それすらわからないから終始緊張しまくりなはずだし)
また、病院内で見えない透明人間相手に普通の人たちが翻弄されるシーンは、どこから攻撃が来るのか、観ていてハラハラして手に汗握りっぱなしでした。
銃を持って対峙しているのに自分の膝を撃ち抜かれてしまうシーンはちょっと衝撃でしたね。
でもこの映画で一番びっくりしたのは、冒頭シーンで妹の車に乗り込んだ後に夫エイドリアンが窓バーン!ってやるとこでした。
心臓止まるわと思ったわ。隣で見てた女の子もビクッっとしてたし。
一番びっくりしたのが、透明人間関係ないとこって(笑)
おわりに
主演のエリザベス・モスといえば、『ハンドメイズ・テイル』に出演してました。
『ハンドメイズ・テイル』では2017年にエミー賞主演女優賞を受賞。(この年はそれ以外にも作品賞、助演女優賞など8部門で受賞。2018年・2019年もいくつかの部門で受賞。)
ディストピアまる出し過ぎて、わたくし『ハンドメイズ・テイル』は1シーズン目の途中までしか見てませんけど。。
とはいえ『ハンドメイズ・テイル』もこの『透明人間』も、ストーリー的にしょうがないんでしょうが、エリザベス・モスの魅力をもう少し表現してあげてもいいんじゃないかな?
何となく暗ーい感じで、透明人間になった夫があんなにも執心する魅力が感じられないんですよね。
実物はこんなに美しいんですし。
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ちなみに『ハンドメイズ・テイル』はHuluで見れます。
まぁこの映画で一番不思議なのは、どうやってセシリアが夫が透明人間になったことに気づいたの?ってとこですかね。フツーそんなこと思いもよらなくない?