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エミー賞のリミテッドシリーズって何?映画や通常のドラマと比較しての長所とは!

エミー賞には、リミテッドシリーズ部門と呼ばれる部門が存在します。

エミー賞にはドラマシリーズ部門やコメディシリーズ部門がありますが、リミテッドシリーズとい言われても名前からは内容がわかりにくいですよね。

という訳で今回はエミー賞のリミテッドシリーズ部門について、その定義や映画等との比較をしていきたいと思います。

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リミテッドシリーズ部門とは

リミテッドシリーズ部門の定義としては、以下の通りとなっています。(2020年時点)

リミテッドシリーズとは、通常の番組が数年にわたりシリーズを重ねて放送されるのに対し、1シーズンで終了する番組を指している。エピソードは2つ以上に分かれ、全放送時間は150分以上、1シーズンのみ あるいは シーズン間でストーリーの連続性のないことを意図した番組がこの部門の対象となる。

基本的には、1シーズンだけ放送されるってことですね。

また、2シーズン以上続いても、次のシーズンに同じ主人公やエピソードが続かないようにすれば、リミテッドシリーズ部門の対象になります。

リミテッドシリーズの歴史

名称・定義の変遷

リミテッドシリーズは1973年に、「リミテッドシリーズ(ドラマ/コメディ)」部門として始められてました。1974年に「リミテッドシリーズ」部門に、1986年には「ミニシリーズ」部門と改名されます。1991年にはテレビ映画部門と統合され、「スペシャル&ミニシリーズ(ドラマ/コメディ)」部門と呼ばれます。2011年には、対象となるミニシリーズ作品が少なかったため、「ミニシリーズまたはテレビ映画」部門になります。

2015年には「リミテッドシリーズ」部門と改名され、定義も「テレビ映画」シリーズと区別するため、2エピソード以上というものになりました。

過去ノミネート・受賞作品

設立当初の1970年代には「刑事コロンボ」が受賞していたりしています。

2002年にはスティーブン・スピルバーグ&トム・ハンクスが製作総指揮した「バンド・オブ・ブラザーズ」が作品賞・監督賞など計6部門で受賞。2010年には再びスティーブン・スピルバーグ&トム・ハンクス製作総指揮の「パシフィック」が作品賞を受賞しています。

また、2011年「ダウントン・アビー」、2014年「FARGO/ファーゴ」、2017年「ビッグ・リトル・ライズ」なども受賞しています。

(「FARGO/ファーゴ」はその後もシーズンが作成されてノミネートされてますが、それぞれのシーズンで年代や登場人物が異なるため、リミテッドシリーズ部門での受賞となってます。「ビッグ・リトル・ライズ」は当初は1シーズン限りの制作が計画されていたものの、人気のためそれ以降のシーズンが作成されています。)

また、「アメリカン・ホラー・ストーリー」や「アメリカン・クライム・ストーリー」などは、名前が同じもの(副題は異なる)がノミネートされていますが、これまでのものと続きではなく、内容も異なるものであるため複数回ノミネート・受賞しています。

映画・通常のドラマと比較して見えてくるリミテッドシリーズの長所

総放送時間、エピソード数、シリーズ数で映画・通常のドラマと比較してみます。

  シリーズ数 エピソード数 総放送時間
リミテッド 1シリーズのみ 2エピソード以上 150分以上
通常のドラマ 2シリーズ以上 決まりなし 決まりなし
映画 1シリーズ~ 1エピソード 90~150分程度

通常のドラマの場合も1シリーズで終わってしまう(要は打ち切りされてしまう)ようなものもありますが、そういうものはエミー賞にノミネートされないと思われますので、2シリーズ以上としています。

 

まずリミテッドシリーズは、シリーズ数は1シリーズのみと決められています。(ただし連続でないものや、年代・登場人物が異なれば別シリーズとみなされる。)これは通常のドラマと区別するために設けられた決まりです。

また、エピソード数(話数)については、リミテッドシリーズは2エピソード以上と決まっています。これは、テレビ映画と区別をするために設けられた定義です。 

 

では、リミテッドシリーズの長所について考えてみたいと思います。

通常ドラマと比較した場合のリミテッドシリーズの長所

通常のドラマと比較しての長所ですが、なんといっても1シリーズだけなので、すぐに見終わることができる、というのが大きいです。

基本的に通常のドラマは1シーズン目から見ていることを想定しているため、例えば2019年にドラマ部門で最優秀作品賞をとった「ゲーム・オブ・スローンズ」で言えば、全8シーズン(73エピソード)見ないと最後まで見終わりません。。また「ゲーム・オブ・スローンズ」のような連続ものに限らず、「グッド・ワイフ」や「メンタリスト」のような一話完結ものや、「フレンズ」「ビッグバン★セオリー」に代表されるシットコムも、過去の出来事や人間関係を把握できないため、途中のシーズンから見始めるなんてことはだれもしないでしょう。

2016年~2020年までのエミー賞リミテッドシリーズのノミネート作品全25作品のエピソード数は4~10エピソードとなっており、平均するとエピソード数は7.8エピソードでした。1エピソード約60分と長めに仮定しても、8時間かからず最初から最後まで見終われる計算になります。

いくら友人に勧められたり、ネットでいいと噂になっているドラマでも、何十時間もかけないと見終われない、というのはなかなか気が引けてしまいますよね。

映画と比較した場合のリミテッドシリーズの長所

じゃあ、「映画でいいじゃないか」と思ったあなた、確かにそうです(笑)。

映画ならだいたい2時間で終わりますもんね。先ほどの例でいうとリミテッドシリーズが8時間かかるところを、4分の1で見終わる計算になります。いやもう映画サイコーじゃん。まぁ時間的にはね。

とはいえ時間だけではないですよね、やはり内容は重要です。

基本的に映画館で見る映画は、上映回数を増やして多くのお客さんを集めたいので、できれば上映時間は短い方がよいです。(1日2回上映される映画より、1日3回上映される映画の方が単純に観に来るお客さんは多いですよね。より儲かるってことですね)

それに比べて時間に比較的余裕のあるリミテッドシリーズの方は、複数のストーリーを重ねて物語を進行させたり、巧妙な伏線を仕込んで最後に回収させたり、登場人物の揺れ動く感情を豊かに表現するシーンを挿入したりなど、観ている我々が思わず引き込まれてしまうようなこともあります。(映画でももちろんそういうことは可能ですが、時間的な制約は確実に存在する)

 

ついでに、映画だと区切りがいいところってわからないですよね。なので、たとえば今日は1時間しか時間が取れない!って時にはなかなか見づらかったりします。でもでもリミテッドシリーズならエピソードごとに区切りがあるので、1時間だけってときも1エピソードだけ見ることができちゃうのもいい点ですよね。

おわりに

リミテッドシリーズの長所をおさらいしましょう。

  • 通常のドラマより時間的にお手軽に観れる
  • 映画より深みのある演出に引き込まれる

もう見るしかないでしょう、リミテッドシリーズ。

 

わたしのおすすめも載せておきます。

↑こちらは作品賞は惜しくも逃しましたが、最優秀主演男優賞を取っています。(2019年) 

↑こちらは2020年にノミネートされた作品です。

作品賞だけでなく、助演女優賞等にもノミネートされています。

 

 

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