今回は2008年以降のイギリスBBCで最も高い視聴率を記録したドラマである、『ボディガード -守るべきもの-』をご紹介。
『ボディガード -守るべきもの-』はどんな話?
警察官のデイビッド・バッドは、偶然乗り合わせた列車でイスラム教徒による自爆テロを防ぐ。この功績によりバッドは女性内務大臣であるジュリア・モンタギューの警護責任者となる。
モンタギューはテロへの対策のために国民のプライバシーを一部侵害する法案を推進することで、暗殺の対象者として命を狙われてしまう。バッドはモンタギューの政治姿勢には反発しながらも、警護のプロフェッショナル”ボディガード”として彼女を守る。
誰がモンタギューを狙っているのか?バッドは彼女を守りとおせるのか?
見ごたえある骨太のストーリー
基本的なストーリーとしては、主人公デイビッド・バッドがジュリア・モンタギューを守れるのか?、そして誰が彼女の命を狙っているのか?を暴いていくというものです。
『ボディガード』シーズン1は6話しかないんですが、、というよりは1シーズンを6話と短くしたことで中だるみもなく、内容の詰まったストーリーに仕上げてあります。
本当に不要なシーンがひとつもないような出来で、テロとの闘いや警察内部でも主導権争い、デイビッド・バッドの葛藤など、見どころが盛りだくさんです。
最後はアッと驚くような結末ですし、見始めたらとまりません。
全編を通した緊迫感が病みつき
『ボディガード』に登場するイギリス国内の組織としては、大きく分けて3つ。
まずは、ロンドン警視庁の要人警護部門。ここはデイビッド・バッドが所属する組織。
そしてロンドン警視庁のテロリズム対策司令部(SO15)。その名の通り対テロ組織です。
MI5も出てきます。MI5はイギリス国内の治安維持を担う情報機関。内務大臣の管轄下にある。(よく耳にするMI6は国外の情報収集や工作を行う情報機関のこと。)
内務大臣であるジュリア・モンタギューを警護するにあたって、SO15とMI5が対抗しています。ストーリーにおいては爆破テロ事件が発生したり、ジュリア・モンタギューが狙撃されたりするんですが、それらの捜査に対してどっちが主導権を握るだの、機密情報が洩れてるだのバチバチと火花を散らしてやりあってるんです。緊張感がハンパないです。
それら国の内部でのやりあいとは別に対テロ組織との闘いもあり、息をつくヒマがないほど全編を通して緊迫感が凄いです。
主人公を演じるリチャード・マッデンの演技が素晴らしい
主人公デイビッド・バッドを演じるのはリチャード・マッデン。
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『ゲーム・オブ・スローンズ』でロブ・スタークを演じていた俳優さんです。
とはいえ『ボディガード』を見ているときは、わたしは同一人物とはまったく気づきませんでした。
『ゲーム・オブ・スローンズ』でのリチャード・マッデンはどこか頼りなげに感じていたのですが、この『ボディガード』のリチャード・マッデンはがっしりとした体格ではっきりとしゃべる、まさにボディガードを絵に描いたような人物を演じています。
自分がもし守られる立場であれば、こういう人に守ってもらいたい。彼の「Yes,Ma'am」という発言がなんとも頼もしいんですよ。(デイビッド・バッドの上司は女性ですし、警護対象も女性なので「Ma'am」がよく出てきます。)
そんなデイビッド・バッド、ボディガードとして働いているときは、完璧に忠実に任務をこなす一方、兵士としてアフガニスタン戦争に行ったことでPTSDを負っており、そのせいで妻子とは別居状態。戦争でつらい経験をし、そういったものから妻やこどもを遠ざけておきたいという思いから、私生活がうまくいってないんです。
社会的な立場ではきちんとした人間として見られるよう行動できるものの、夫や父親という立場においては情緒不安定でうまく振舞えなかったんですね。リチャード・マッデンはそんなひとりの人間の表と裏の面を非常にうまく演じています。
その結果、ゴールデングローブ賞のドラマ部門で主演男優賞を勝ち取っています。
おわりに
第76回ゴールデングローブ賞の主演男優賞もとっていますが、第71回エミー賞にもノミネートされていました。こちらは作品賞としてのノミネート。結果としては『ゲーム・オブ・スローンズ』が受賞したので、『ボディガード』は残念でした。『ゲーム・オブ・スローンズ』は最終第8シーズンだったのですでにリチャード・マッデンの出番はなかったですが、両作品に出演していた役者としてはどういう思ったんでしょうかね。
ちなみにどうやら2シーズン目についても製作の検討は始まっているようです。
いつからになるかは検討もつきませんが、1シーズン目の内容からすればかなり期待できそうです。今からワクワクします。