宇宙ものの映画やドラマって皆さん好きですよね。わたしも大好きです。
スペクタクルあふれる映像だったり、未知の世界との遭遇だったり、観ていてホントにわくわくします。
今回のドラマもそういうのを期待していたんですが、ちょっと違いました。
もちろんそういう要素もありますがそれがメインではないんですよ、いい意味で。
ではNetflix『AWAY-遠く離れて-』のご紹介です。
どんなストーリー?
多国籍チームを率いる船長として、有人火星探査に挑むエマ・グリーン。
地球に残した愛する夫と娘を想いながら、3年という長く危険な任務に挑む。
クルーは全部で5人。
船長はアメリカ人のエマ。
副船長で医師のインド人のラム。
宇宙での経験が最も長いロシア人エンジニアのミーシャ。
中国の一流科学者であるルー。
世界トップクラスの植物学者であるガーナ系イギリス人のクウェシ。
この5人で月から火星まで行き、火星で植物を育てるなど実験を行うのがミッション。
しかし、最も初期の段階ともいえる月までの道のりにおいて、ある危機的な状況に対する船長エマの対応のせいで、クルーは彼女の指揮能力に疑問をいだくこととなる。
果たしてミッションはうまくいくのか。
離れていることですれ違う想い
クルー5人を乗せた宇宙船はだんだんと地球から離れていきます。
途中までは地球とはリアルタイムで通信できるんです。しかも映像も音声も同時に、テレビ電話みたいな感じで相手とやり取りできます。しかしある程度地球から離れてしまうと、メールのみのやり取りだけしかできず、さらには送っても届くのにも数十分かかるという状況になります。
エマが月にいる間、つまり最も初期の段階で、NASAで働くエマの夫マットが脳出血で倒れて重体となり手術が必要になってしまうんですが、その時エマは地球に戻るかどうかかなり悩みます。夢だった火星へいくというミッションを捨てて家族の元に戻るか、それとも3年間離れたままで火星に向かうか、を。火星への道は諦めたくないが、愛するマットを放っておくこともできない、というエマの揺れ動く感情がリアルに伝わってきます。
エマの娘であるレックスにとっては父が緊急事態にも関わらず、母も不在というのは本当に不安であることは、エマも痛いほど理解しています。そのため、エマはマットやレックスを支えて家族で過ごすために地球に戻ることを決意するんです。
しかし、そのことを伝えようしたエマは、手術を終えたマットとレックスに電話越しに諭されます。マットの手術は成功したし、二人でやっていけるから、と。この時のレックスが涙ながらに「ママは火星に行って」というシーンは観ていて泣けてきます。本心としては戻ってきてほしいけどエマの夢をかなえさせてあげたいという想いが伝わってきます。
そして最終的には火星へのミッションを継続するという決定をエマはします。
これはまだそこまで離れておらずリアルタイムで話すことができたからこそ導き出せた結論でしょう。これが例えばメールだけの簡素なやり取りしかできなかったら、エマは地球に戻っていたとわたしは思います。
ただ、地球から遠ざかり火星が近づいてくると状況は変わってきます。
コミュニケーションは無味乾燥なテキストでしかやり取りができません。
思春期であるレックスはエマのメールに返信しないことがあり、エマはやきもきするんです。宇宙船内の安心できない状況も重なって、レックスのことが心配になりすぎて一時はいらだち、ノイローゼ寸前みたいな状況にもなってしまいます。メールの返信が来ないのを、通信機器が故障したと本気で思いこんだりして。
一方は地球で彼氏もできちゃってやることが沢山あるティーンエイジャー、一方は宇宙船内の危機の対処方法待ちで娘の心配ばかりしてしまう母親。ふたりの想いがすれ違ってしまっているんですよね。物理的な距離が離れているだけでなく、心理的にも距離があいてしまったといった感じです。
心理的な距離をどのように縮めていくかがこのドラマの大きな見所になっています。
『AWAY-遠く離れて-』というドラマ名にも、単なる宇宙を扱ったドラマってだけじゃない、っていうのが表れていますよね。
クルーひとりひとりの物語が描かれる
映画だと2時間枠なので、クルーひとりひとりに焦点が当てられなかったりするものも多い気がします。
その点この『AWAY-遠く離れて-』は1時間×10話あるので、それぞれのクルーの物語や背景がちゃんと描かれます。
例えば中国人科学者のルーの場合。
彼女は夫とは愛のない結婚生活を送っていますが、NASAの地上スタッフであるメイに想いを寄せています。しかしNASAの上層部にばれて、メイは火星ミッションとは関係のない部署に飛ばされてしまいます。それがもとでルーは一時宇宙船内で孤立してしまうのですが、エマの発案でその状況を打破するんです。
初期のころは5人のそれぞれ考える方向性が必ずしも一致しておらず、不和ともいえる状態でした。しかしクルーひとりひとりに発生する困難に立ち向かううちに、自然と一致団結した状態に固まってきます。
クルー全員が個性のあるひとりの人間として描かれているのは、このドラマならではと感じます。
宇宙の旅はやっぱり壮大
とはいえこれも宇宙もののドラマです。
宇宙船に異常が検知され急に船外活動しなきゃならなくなったり、水を作り出す装置が故障したりなど、宇宙ものならではのストーリーも展開されます。
やっぱりこういうのも見たいですよね。
宇宙船内にあるもので何とかしてミッションを継続できるように、NASAの地上スタッフたちが試行錯誤を繰り返す、なんてシーンももちろん出てきます。
クルー間でのいざこざがあったりしつつ、船外活動で不意に誰かが死ぬんじゃないか?とか、水を作れなくて地球に引き返す?とかドキドキしながら見れます。
シーズン1の最後、ここでひとつの区切りになるんですが、わたくしちょっと鳥肌立っちゃいました。やっぱり宇宙ものってこうじゃなきゃ!ってのがありますよね。
おわりに
キャストの中で注目したいのが、レックス役のタリサ・ベイトマン!
危機的な状況の中で涙を流すシーンも多いのですが見事に演じています。
思わず見ていてこちらまで泣けてきてしまいます。
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このインスタグラム、ゲーム・オブ・スローンズっぽいですが、違うようです。
中央の人はどう見てもポドリック・ペインですね。(人としては同じ人ですが)
『Robert The Bruce』というロバート1世をモデルにした映画とのこと。
タリサ・ベイトマン、これからの活躍に期待です。
また、見たことあるなと思ってたら夫役のマットは『グッド・ワイフ』でウィルを演じたジョシュ・チャールズですね。
ドラマとしては2020年10月時点ではシーズン1しか放送されてないですが、まだまだミッションも途中ですし、1シーズンで終わるということはないと思います。
今後どうなっていくのか、展開が気になります!