『スマホを落としただけなのに』、初日に観ました。原作は未読。
先週公開の『search/サーチ』もそうですが、こちらもSNS絡みの映画。
感想です。
あらすじ
麻美(北川景子)が彼氏に電話をかけると、聞き覚えのない男の声が聞こえてくる。たまたま落ちていたスマホを拾ったという男から彼氏のスマホが無事に戻ってきて安堵するが、身に覚えのないクレジットカードの請求や、SNSで繋がっているだけの親しくない友達からのしつこい連絡など、その日を境に奇妙な出来事が起こり始める。そのころ、人里離れた山の中で次々と若い女性の遺体が発見され、連続殺人事件として捜査が始まる。身元不明の遺体は、どれも長い黒髪を切り取られていた。スマホを拾ったのは誰だったのか、連続殺人事件の真犯人は……?
出典元:MovieWalker
感想
ストーリーの現実味
すこし前に、スマホを電車で落としたらインドネシアまで行ってしまったけど、現地の人から連絡があって見つかる、というちょっといい話が記事になってましたが、そんな話とは正反対の展開です。
落としたスマホを拾ったのが偶然にも連続殺人犯で、スマホから情報を抜き出して、結果スマホを落とした男の彼女が殺人の標的になってしまうというストーリー。
ストーリー的にはおもしろそうなんですが、映画を実際見てみると現実味があまり感じられなかったんですよね。細部に粗が目立ってどうにも話に没入できん。
まずは犯人。
落としたスマホからあんなに簡単にLINEっぽいやり取りを盗み見たりできるのか?とか、細かいところの信憑性が妙に気になってしまう。まあスマホの位置情報はパソコンから見れたりするから、技術的に不可能ではないのかもしれないけど。。
そもそも犯人は母子家庭で、母親からないがしろにされてきた様子が描かれているので、おそらくたいした教育も受けていないと推測されます。それにも関わらずフィッシングサイトを作ったりしてパスワードを入手したりするなど、高度な技術を有してるんですよね。このあたりも違和感。
あとは、千葉雄大演じる刑事・加賀谷。
プログラマーから転職してきた新人刑事のはずなんですが、やたらと優秀。
最初はヒルにかまれたり新人っぷりを発揮してますが、途中から先輩である毒島(原田泰造)より仕事ができているという意味不明さ。
途中、加賀谷ひとりで聞き込みに行ったり、毒島が寝てるなか加賀谷が英語で電話して仕事してるという場面もあったり。
最後にはそんな新人刑事を信頼して、犯人が左右どっちに行ったかを判断させるという謎。加賀谷としては、犯人が自分と同じような境遇だから同じような思考回路で遊園地の方に行ったという論理なんだろうけど、それ毒島に説明してないよね?(まぁ説明したとしてもまったく説得力がないけど。)そんな新人の判断を信じる毒島も毒島だし。しかも同じ車で来たはずなのに、なぜか加賀谷だけが先に到着して犯人ともみ合ってるという展開。毒島は犯人の背後にまわってるとか?と思ったんだけど、別にそういう訳じゃなく、ただ遅れてるだけっていう(笑)
成田凌の怪演
成田凌、サイコっぷりがサイコーです。
特に麻美にカフェ(バー?)で自分が犯人だと打ち明けたときの顔がまさに狂気。
その後の監禁場所でのイカレっぷりも見ものです。
ちなみにいわゆる連続殺人犯とこども時代に受けた虐待には関連がある、とこれまでの研究でわかっています。「あんたなんか産まなきゃよかった」と言われ続けた少年は、母親の愛を受けられず精神的に歪んでしまったんでしょうね。
スマホのセキュリティ
この映画ではスマホのロックに誕生日が設定されていて、SNSの誕生日を調べられてロックが解除されてしまいます。
IPA(情報処理推進機構)の「2017年度情報セキュリティの脅威に対する意識調査」によると、約半数がパスワードに誕生日などの推測されやすいものを設定しているらしいです。
出典元:IPA「2017年度情報セキュリティの脅威に対する意識調査」報告書
パスワードに誕生日を設定するとかありえないですね。
しかも2段階認証も設定してなかったらヤバすぎ。実際この映画の主人公はしてませんでしたが。
Google、Amazon、Facebook、twitter、Instagram、Yahoo!、Evernoteなどなど、今やたいていのものは2段階認証を設定できるので、やっとかないとかなりまずいですよね。(楽天はできないかも?!)
おわりに
回想シーンで麻美と美奈代が出てくるところ、どっちがどっちなんだかこんがらがった。今の麻美=昔の美奈代で、北川景子じゃないほうが美奈代ってことはわかってるんだけど、会話とかに追い付けなかった。
この実は入れ替わってましたっていう設定も、この映画のひとつの見どころなのかもしれないけど、「ふーん、だから?」っていうレベル。
総評としては、リアリティがあまり感じられないので、全体的にストーリーが薄っぺらく感じたのが残念。